高機能性塗料コラム
第15回、メッキから蒸着へ
投稿日:2019/5/21
こんにちは。「こんな塗料できないの?」に私たちが答えます。
高機能性塗料設計技術ソリューションパートナーの横溝(よこみぞ)です。
「令和」になって初めてのコラムです。5月の新緑の季節となり、
清々しい気持ちで新時代を迎えられていることと思います。
さて、今回から3回にわたって、当社の製品ラインナップから
自動車部品向けのプラスチック用塗料の提案をしたいと思います。
今回のキーワードは、「メッキ(湿式メッキ)から蒸着(乾式メッキ)へ」です。
本コラム(第1回目)では、湿式メッキと乾式メッキの違いについて解説いたします。
「メッキ」と聞いて、皆さんが想像される多くは「湿式メッキ」のことだと
思います。ご存知の方も多いかもしれませんが・・・
メッキとは、対象物の表面に「防錆」・「装飾」などの目的のために
金属膜を形成させる方法の総称です。
湿式メッキは、薬品や液に浸漬させ、対象物に金属を付着させる方法で、
乾式メッキは、金属を気化させることで対象物に金属皮膜を付着させる方法です。
自動車部品での湿式メッキの適用例を図1に、乾式メッキでの適用例を図2に示します。
湿式メッキに代表される電解メッキは、薬品や金属の溶けた溶液に対象物を入れ、
電気を流すことで⊕金属を、⊖対象物へ付着させる方法であり、図3に電気ニッケルメッキでの模式図を示します。
短時間に厚膜の金属を付着させることができ、防錆性に優れています。
また金属光沢の仕上がり感に優れています。
図3:湿式メッキ(電気ニッケルメッキ例)
一方、乾式メッキ(真空蒸着やスパッタリング)で金属膜を形成したものは、
数十ナノメートルの超薄膜金属皮膜で優れた金属光沢を得ることが出来ますが、
それ単体では耐久性を発揮することができません。
そんなときに、コーティング剤+乾式メッキの組み合わせが推奨できます。
対象物に対し、プライマーコーティング+乾式メッキ(真空蒸着やスパッタリング)+トップコーティングの
構成のコーティングを施すことによって、耐水性やアルカリおよび酸などの耐薬品性を付与することが出来ます。
図4に真空蒸着の模式図を、図5に自動車ヘッドランプ用のプライマーコーティング+アルミ真空蒸着+
トップコーティングの構成例を示します。
図4:乾式メッキ(真空蒸着)
図5:自動車ヘッドランプ用のプライマーコーティング+アルミ真空蒸着+トップコーティングの構成例
このように、湿式メッキと乾式メッキは、日常さまざまな場面で、
それぞれの特徴に応じた活用がなされており、我々の生活に役立っています。
なお、湿式メッキは、重金属や有害物質を含む廃液処理が必要となるため、
分野によっては、そのような廃液処理の必要がない乾式メッキが重宝され、
コーティング剤との組み合わせによって、湿式メッキ同等以上の品質が得られています。
当社では、このような乾式メッキ(真空蒸着やスパッタリング)に最適なコーティング剤を扱っております。
安価に金属光沢のように輝かせたい複雑な部品などでは、ご検討の価値はあると思います。
当社は7月17日から19日の3日間、名古屋(ポートメッセなごや)で開催される
「人とくるまのテクノロジー展」において、乾式メッキ用コーティング剤=(真空蒸着用塗料)を出展します。
是非当社ブースへお越しください。
次回は、「熱硬化塗料からUV硬化塗料へ」というテーマで提案させていただきます。