塗料報知に当社記事が掲載されました。
塗料報知2018年3月27日号に当社代表取締役社長:塩田淳のインタビュー記事が
掲載され、フィルム用や真空蒸着用コーティング剤などの機能性塗料における
現在の取り組み、さらに新製品である有機EL関連コーティング剤や
ノンシリコーン系離型コーティング剤に関する今後の展望について紹介されました。
■ユーザーのため、さらに高みを■
日本化工塗料は、1917年に「日本化工」として設立され、昨年10月に100周年を迎えた。創業者の堀田瑞松氏は1885年8月14日に船底塗料に関する特許を取得して、これが日本における特許第一号となったことはよく知られている。同社では、この133年前の日付をもって創業の日としている。それ以降、一貫して塗料メーカーとして事業を続けてきたが、その歩みは決して順調なことばかりでなく、経営的に難しい時期もあったという。昨年、同社社長に就任した塩田淳氏いわく「周りの方々に支えられて現在まで来られた。特に、現在の親会社である関西ペイントの経営への参画と関西ペイント製品の製造受託によって、最も苦しい時代を乗り越えることが出来たのが大きかった」とのこと。
現在、同社は関西ペイントグループの特殊機能性塗料専門メーカーとして、フィルム用機能性コーティング剤「TOMAX(トマックス)」、真空蒸着用コーティング剤「BRIGHT(ブライト)」に代表される高機能塗料を最先端のエレクトロニクスや自動車部品産業に供給。さらに、蓄積された高機能塗料設計技術を活用した課題解決型の塗料開発サービスで存在感を示している。ちなみに「紫外線硬化塗料フォーミュレイション技術」などのコア技術は、2000年代初頭からの紙用コーティング剤の開発過程で培われ、エレクトロニクス産業発展期に現在の用途で開花することとなる。
塩田氏は「どの時代においても創業者のパイオニア精神を見習い、顧客のニーズを見極め、常に顧客と接しながら『モノづくり』に徹してきたことが、現在につながっていると思います」と述べる。
同社では現状のマーケットについて、次のように分析している。
▽エレクトロニクス分野のコーティング剤においては、スマートフォン、タブレットおよび有機ELディスプレイ普及により2022年まで右肩上がりの予想(矢野経済研究所統計)。
▽機能性フィルムコーティング分野では、2500t/年を超える市場(2017年同社調査)であり、機能性コーティング剤の各種機能性単体を見ればニッチな市場と思われがちだが、申し分のないマーケットと考えている。
▽自動車分野においても、機能性コーティング剤への注目度は増していると見ている。特に自動車内装においては、ディスプレイの高精細化やフレキシブル化への進化が加速するなかで、多様な形状のディスプレイ開発が進められている。ここでスマートフォン向けに培ったディスプレイフィルム用機能性コーティング剤の技術を応用・展開できると見ている。
これら分析をもとに、総じて、同社では今後もエレクトロニクス、自動車関連分野の成長とともに自社製品も発展していけるとしている。
”蓄積技術活用による高付加価値塗料の開発〟こそが、同社の強みであるが、それを支えるのが”ユーザーの要望に応え、さらに高みを目指す姿勢〟であり、それは次の取り組みからも伺える。
まず、組織体制については、各分野の最新の営業・技術情報を共有し、一元管理が出来るシンプルな組織とし、日頃の〝ステアリング(舵取り)ミィーティング〟でタイムリーな意思決定を行う体制としたこと。そして、日々取得されるデータやユーザーで採用に至ったキー技術を要素技術として蓄積し、次の新製品の開発プロセスへも活かせるデザインレビュー活動を実施している。
さらに、ユーザーへの個別対応やクイックレスポンスについては、セミナー講演や展示会出展などを利用して、営業技術員自らが「高機能性設計技術ソリューションパートナー」として顧客と接することで、正確かつ迅速に顧客課題を抽出し、ソリューションを塗料で提供する活動を推進している。
あわせて、全営業技術員がソリューションパートナーとして顧客要望に応えられるよう、社外講習会の聴講や社外投稿活動を推進し、日々技術開発力の向上を目指し活動しているという。
塩田氏によると「社員が自社の強みを知ることにより、逆に何が足りないかも強く自覚して、その結果”組織力〟が向上してきたと思います。近年はコンサルタント会社に依頼しての社員研修にも取り組んできました。目標は、社員に研鑚を積んで考える力を身に着けて欲しいということ。ソリューションパートナーとしては、何が自社の強みなのか自覚し、ユーザーに言われるがままではない課題解決力を身に付けないといけない。
しかし、私が思うに”組織力〟はまだ不十分です。まずは営業力などをトータルで向上させて、アプローチでの成約率を高めたい。そのために、今後も個人の能力を高めるための投資をしたいと思います」と述べる。
続いて、今後の新事業について伺うと、まず注目しているのが有機ELに関連するコーティング剤とのこと。有機ELは、フレキシブル・ディスプレイの素材として有望視されているほか、自動車内外装や一般向けの有機EL照明として、薄く、フレキシブルで、面発光できる特性をいかしたデザインの自由度から、LED照明の対抗馬になり得るという。
あわせて、離型フィルム分野にも注目しているという。現在、離型フィルムコーティング剤の市場は、1100t/年(2017年同社調査)であり、市場の95%はシリコーン系材料を適用させた離型コーティング剤が用いられている。残りの5%はノンシリコーン系離型コーティング剤の需要であり、その用途はシリコーン汚染を嫌う電材関連となっている。市場の5%としても年間50t強の需要であり、同社ではこのノンシリコーン離型コーティング剤を、課題となる低剥離強度化での差別化を目指し新分野へ参入していきたいとしている。
あわせて、これら新事業とともに、今年も展示会出展によるアピールを強化。また、夏頃には、同社独自での新製品・技術セミナーの開催も予定しているという。